身体のバーチャルリアリティー

身体に対して「デザイン」という概念を適用しようとする場合、基本的な前提として、身体には物質的な側面と情報的な側面があることを確認しておくと良い。

例えば、人間と共生することを目指したロボットの手をデザインしようとする場合、コストを度外視するならば、プラスチックやアルミなどの硬くて冷たい素材よりも、皮膚の素材感などに近いシリコンなどの柔らかな素材が好まれるだろうし、ドラえもんの手のような単純な形状よりも、人間と同じような多指の関節機構を持った制御機構を持ったものがより高級とされる。あるいは、映像上で人間のアバターをCGで設計しようとする場合、人間の身体の関節(ボーン)が物質的にどのように構成されているか、ということに対する解剖学的理解が重要である。近年、CGの水準で、「不気味の谷」を超えたように、物質的な理解を一つ一つクリアしていけば、人間と区別のつかないアバターを作ることは可能である、そのような信念は多くの人は共有しているように思う。

さて、