9月の小鷹研、その1
- 9月14日、JCSS2017(認知科学会)のOrganized Sessionで、小鷹が「HMDと身体」に関わる研究発表をしました。この論文PDFは事前よりHPで公開されており、少なくない方々に読んでもらっているようです。
— 論文のPDF
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この論文では、まずは「何らかのイメージに自分を投射する」うえで、OwnershipとAgencyが果たしうる役割を考えています。両者とも感覚間共起性をベースに「自分」を外部へと投射するわけですが、Ownershipは、イメージに課されれる整合条件が強すぎるし、投射距離も短い。
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Agencyはといえば、イメージはなんでもいいし、投射距離もどこまでもいける。空間的自由度は一気に上がるが、実は、Agencyは「0から身体を立ち上げることができない」。さらに、イメージに対してアクティブに関わらないといけない。関わり続けないといけない。。
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例えば、VR上でアバターに身体を投射したい場合、Ownershipでは近視眼的すぎるし(整合条件的に)対面できないし、一方で、Agencyでは、TVゲームのマリオで達成されていることと何ら変わらないわけです。せっかくHMDという新しい環境があるのだし、違う道を探りたい。
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そこで、第三の道として「三人称定位」という位相を考えたい。この「三人称定位」では、対象に対してアクティブに関わる必要はないし、空間的自由度も外側から俯瞰できる程度には上がる。Ownershipほど強い「身体」ではないにせよ、そこに「自分が所属していること」が明確に「感覚」される。
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このような位相を考えるうえで、幽体離脱(OBE)というある種の「認知モード」を手がかりにしたい。幽体離脱状態では、そもそも半数以上が自分の動きをコントロールできないから、PassiveなSelfを構成できるし、多様な視点から自分を俯瞰することもできる。距離の自由度も上がる
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確かに、幽体離脱は、OwnershipとAgencyでは要求されている、いくつかの空間条件、同期条件が課されないことは魅力的であるわけだが、、、他方、そもそも、何か「起動スイッチ」となっているのかがわからない。起動するための「新しい条件」というのを探らないといけない。。
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長くなったのでやめますが、こんな感じで、「HMD空間に身体を入れる」うえで、OwnershipともAgencyとも別の道を探るアプローチもあり得るのではないか、という提案がベースとなっており、その意味で、結構「大きい話」をしています。
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発表は、意外と反応がよかったです。オーガナイズした先生方からも大変ありがたい言葉をいただいたし、知能ロボティクスの浅田稔先生がたまたま聞きに来ていて(質問もしてくれた)、ロボットとownershipの研究の可能性について発表後にディスカッションできたのは、すごくラッキーだった。
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論文に関しては、画家で評論家の古谷利裕による偽日記の中でも取り上げていただいています。このポストのおかげで、僕の論文を、多くの人が読んでくれたみたいでうれしいです。ある種の「要約」として読まれるのもいいかもしれません。論文長いし。
— 偽日記へのリンク
9月の小鷹研、その2
https://twitter.com/kenrikodaka/status/908445660382355458
RFSとStretchar(m)は、去年の戦場で発表したものですが、公の場で発表するのは実は初めてです。実はこの二つ、11月のSiggraph Asiaでの展示も決まっています。で、Elbowrist(エルボリスト)については、4年生の室田さんが中心にやってる、完全なる新作です。
— 「」kenrikodaka (@kenrikodaka) September 14, 2017
Elbowristは、「背面空間」を(視覚的な)身体近傍空間として再編成するための体験装置です。この場合、ただ、後頭部に目をつけるだけではダメで、その見知らぬ土地に、自分自身の行為が積極的に介入していくことが要求されるわけです。
— 「」kenrikodaka (@kenrikodaka) September 14, 2017
そのために、手首を第二の肘(Elbow + Wrist)として、そこに第三の腕が延長され、elbowristを起点にして、腕を背面に折りたためるようにしました。そうすることで、背面空間の中が、その者にとっての「行為可能な空間」へと昇格するわけです。
— 「」kenrikodaka (@kenrikodaka) September 14, 2017
今回は、僕も他の件でいそがったし、「まぁ、卒制の途中段階で仕方ないだろう」と思ってたら、一昨日の最終チェックで、室田さん、完全に仕上げてきました。これ、けっこう、すごいと思います。特に、後頭部をぐ〜っと下側に傾けて、お尻の付け根の部分を見るときとかすごい。 pic.twitter.com/J2Rtq3SwA4
— 「」kenrikodaka (@kenrikodaka) September 14, 2017
https://twitter.com/kenrikodaka/status/908446610408873985
9月の小鷹研、その3
名古屋市科学館で行われる皮膚に関する企画展(9月16 -24)に参加します。企画の趣旨とは関係なく、鏡・影・素手を駆使して、いろいろやります。現場は、佐藤くんと石原さんを中心に仕切ってもらいます。こちらに特設ページをつくりました。 https://t.co/Vi4u1OgnQj
— 「」kenrikodaka (@kenrikodaka) September 14, 2017
「HMDとかさぁ、プロジェクションマッピングとかでさぁ、はしゃいでんじゃね」って息巻いている小鷹研の別人格が活躍する場です。こちらも、よろしくお願いします。
— 「」kenrikodaka (@kenrikodaka) September 14, 2017